稼いでいる人って『経済的にも時間的に余裕がある』というイメージがありませんか?
実は、労働所得で稼いでいる人はどんなに稼いでも『自由な時間が少ない』『自分が好きな事をする時間が無い』と感じている人が多いみたいなんです。
なぜ、そのように感じてしまうのか?
『幸せをお金で買う5つの授業(著:エリザベス・ダン、マイケル・ノートン)』を参考にしながら簡単に紹介します。
楽しみのために時間を使えていない
稼ぐ人はお金をもっていますから、お手伝いさんを雇って家事をしてもらい、自分の『自由な時間』をある程度確保することができます。
しかし、その自由な時間を楽しみのために使えていないのです。
経済学者のダニエル・カールマンらが行った研究によれば、裕福な人は通勤や仕事のようなプレッシャーの高いことに時間を使う傾向があることがでわかっています。
せっかく自由な時間ができても、仕事などストレスの多いことに充てる人が多いんですね。
稼げば稼ぐほど自由な時間は作れるが、その時間にさらに仕事をしてしまう。
そしてさらに稼いで、仕事量をさらに増やす…
これでは稼ぐばっかりで、いつまで経っても自由な時間を楽しみのために使えませんね。
なぜ仕事量を増やしてしまうのか?
トロント大学で行われた研究で以下のようなものがあります。
とある仕事を学生たちにしてもらい、学生の半分には時給1,000円、もう半分の学生には時給10,000円で仕事をしてもらいました。
すると、実験の後、高い時給で仕事をしてもらった学生たちの方が、より強く時間に追われている感じがすると答えました。
もちろん仕事の内容や仕事の拘束時間は、低い時給の学生と同じにも関わらずです。
この原因は、『希少性』です。
1時間で1万円も稼げるので、自分の時間をとても貴重なものとして感じてしまいます。
そして、そのような貴重なものは通常、「足りない!もっと欲しい!」と思ってしまうものなのです。
このように時間の価値が高くなってしまい、それを意識すようになるとお金のためにより多くの時間を使うようになってしまう…
これが、労働で稼ぐ人がさらに仕事に時間を使う原因です。
不労所得で稼ぐ人たちは違う
それに比べて不労所得で稼いでいる人たちは違います。
不労所得というのは株の配当金、不動産からの家賃収入などです。
これらは、自分が働いていなくても自動で入ってくる収入です。
なので、労働収入のようにそもそも自分の時間と交換しないと手に入らないものでもないですし、何もしなくても定期的に入ってくるので、その希少性は著しく低いです。
このため「時間が足りない!」「もっと稼ぎたい!」と時間や仕事に追われることも無く、自由な時間を確保しつつ、その時間で十分に楽しむことができるのです。
時間が豊富にあるように思うためには?
前述のとおり時間の価値が高まると、その希少性も高くなってしまいます。
しかし、高い労働収入を得ていても時間が豊富にあるように錯覚させ、その希少性を下げる方法があります。
それは『わざと余計な時間をとるようにする』ことです。
以下のような研究結果があります。
ペンシルべニア大学の研究です。
学生たちに1時間の課題をさせ、その後半分の学生は帰宅させ、残りの学生には15分間のボランティアをしてもらった。
すると、早く帰ることができて余分な自由時間を得た学生よりも、ボランティアをした学生たちのほうが、より多くの時間がある気がすると答えた。
誰かを助けることに時間を使うと、自分は効率的に行動出来ていると錯覚するのです。
(ボランティアをすることには、自分は有能であると思う事によって日常のストレスに耐性が付くという効果もあるそうです)
つまり、他人のために自分の時間をあえて使うことによって、「他人の手伝いまでできるんだから、自分には時間がたくさんある」と思い込み、時間の希少性が下がるというわけです。
まとめ
労働所得で稼ぐことには、時間の希少性を高めることにより幸福度を下げてしまいます。
今よりさらに効率よく時間を使って、「もっと稼ごう」「もっと働こう」としてしまうので、自由な時間が無くなってしまうためです。
ボランティアなどでワザと他人のために自分の時間を使い、自分には時間があると錯覚させ時間の希少性を下げることが必要になります(=仕事ばかりをしなくなる)。
こう考えると、時間的な余裕も確保できる不労所得はやはり最強ですね。
▼ 参考文献
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